板東三十三観音 最後の札所 日輪寺

                                           2012.4.13〜14

お参りの旅を続けていた父ですが、2011.12.20、89歳で自宅ベッドで母の元へ旅立ちました。
だんだん体が不自由になり、とうとうこの日輪寺だけ行けずに終わりましたが、本人は何としても
行くつもりでいました。もっと元気なうちに連れて行ければよかったのですが、日帰り不可能なので
私たちはあきらめていました。父の介護が終わったら、父の写真を持ってお参りに行こうと言って
いましたが、4月になり閉山期間も過ぎたので、いざ行かん!!

最寄り駅の常陸大子までは、例えばこんな行程になります。

静岡発 11:37 東京着 12:40 
           東京発 12:48   上野着 12:53
                       上野発 13:00   水戸着 14:05(スーパーひたち)
                                    水戸発 14:14    常陸大子 15:33
 水戸から常陸大子へは水郡線です。

宿へは夕食までに着けばいいので、水戸で途中下車して、偕楽園を見学することにしました。
私は午前中用事があり、13時に上野で妹と待ち合わせたので、水戸での時間の余裕は2時間弱。

偕楽園           


梅はさすがに終わっていましたが、桜がきれいでした。
曇ってはいましたが天気はまずまず、私たちは時間の余裕がなかったので、駆け足見学でしたが
一日かけてゆっくり味わう場所ですね。

  

表門(黒門)から入りました。この辺りは竹林です。
この椿は白と混じりと赤の三色の花が1本の木に咲いています。


好文亭を見学しました。偕楽園は水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園されたものですが
この好文亭は斉昭公自らが設計したそうです。解説によると木造二層三階建ての好文亭本体と
平屋の奥御殿からなっていますが、各所に創意工夫と洒脱さを感じさせ、斉昭はここに文人
墨客や家臣、領内の人々を集めて詩歌や慰安の会を催しました。特に三階楽寿楼からの
千波湖や田鶴鳴梅林などの眺めはすばらしいものがあります。

 

左は下を覗いて写した写真、上には滑車、これが何かと言いますと・・・

 

なのです。右は「下を覗いて写した写真」の一階部分です。
この白い箱に料理を置いて、上に引っ張り上げたのです。食事を運搬するエレベーター
はよく見かけますが、この時代にもこんな工夫で同じような仕組みを考えていたのです。

 

ちなみに階段はけっこう急なのです。

 

二階に上がるとどちらを向いてもすばらしい眺めです。左写真の中央に咲いている
桜が「左近の桜」見事です。

 

この建物が好文亭です。

 

駆け足で偕楽園を見学し、水戸駅に戻りました。乗りおくれては一大事と、早めに
戻ったので駅の売店でお土産を買いました。「水戸の梅」「のし梅」など名産品を買い
抹茶ラテを飲んでベンチで休んでいました。そろそろ時間・・・とホームに出てみると
4時過ぎだったので学校帰りの生徒でいっぱい(-_-)。

駅に停まる度に、降りる人は自分でドアを開けます。しばらくの間は高校生の
おしゃべりで賑やかでしたが、だんだんすいてきて、窓の外には久慈川が見えます。

常陸大子の駅に到着。リバーサイド奥久慈「福寿荘」に泊まりますが、さて駅からの
道がわかりません。

  

なぜかSLがありました。父が一緒だったら早速四方八方から写真を撮っただろうと
何を見ても父を思い出します。宿への地図をプリントアウトしてあったのですが
肝心なところが切れていて判読不明。駅員さんに聞いても知らないとのこと、
では直接電話をかけて聞いてみようと電話したところ、なんと迎えに来てくれました。

建物は古いですが食事はとてもよかったです。

 

品数の多さもそうですが、「奥久慈のもの、旬のものにこだわった食材」という
キャッチフレーズそのものです。湯葉や歯ごたえのあるこんにゃくなどおいしかった
です。

部屋に戻ると、早速揺れました。地震です。夜中にもどすんと音がして揺れました。
やはり北関東は余震も多いのですね。

明日は7:55のバスに乗るので、食事を7時半にお願いしました。通常は8時だそうです
が、無理をお願いしました。朝食なら15分もあれば食べてしまえるから、これで大丈夫と
思ったのですが、朝食も予想外のご馳走、とても15分で食べられるようなものではあり
ません。こんな品数の多い朝食なのに無理を言って申し訳なかったです。

日輪寺へは歩いて登るつもりでした。ところが予報は雨。祈り続けたものの、起きてみれば
予報通り。それでも窓越しに見るとさほどでもないような気がして、歩いて行こうかと妹と
話しました。駅にコインロッカーがなかったので、宿に荷物を預かってもらうことまでお願い
したのですが、それでもと外へ出てみると、思ったより雨は本格的で、私たちの装具では
30分も歩けばびしょ濡れです。思案の挙げ句、タクシー利用を決めました。
なんせ、常陸大子駅前からバスで蛇穴まで1時間、それから徒歩2時間半です。
蛇穴からしばらく歩いて、タクシーを呼ぼうなどと思ってもそれは無理。

預かってもらうはずの荷物を受け取り、タクシーを呼んでもらいました。

  

 

お経をあげ、御詠歌を唱えてから和尚さまと一緒に写真を撮らせて貰いました。
3日前の雨でやっと雪が融けたばかりとか、やはり寒いです。
それでもお参りの方が2.3いらっしゃいました。

晴れていれば群馬県の山も栃木県の山もぐるりと見える大パノラマのはずが、何にも
見えません。それよりも歩いて登ったらさぞかし達成感があったと思うとそれが残念です。

  

少し上ると山頂で展望台と八溝嶺神社があり、360度ぐるりの展望のはずがこの通り。

帰り道、雨の中を上ってくる女性二人を見かけました。その覚悟に脱帽。そういえば
行く時も、カッパを着ようと身支度をしている男性を見かけました。
しかし私たちのように、遠方からでは濡れてしまっても帰りが困ります。

歩いて上る場合静岡駅へ戻るのが夜8時頃の予定でしたが、タクシーのおかげで
静岡へ2時半頃には着いてしまいました。もっとも駅でタクシーを降りたら、すぐに
水郡線に乗れたのが時間短縮の大きな理由でもありますが。
タクシーの運転手さんが持っていた昨年の時刻表によると、1時間待たなければと
思っていたのですが、ダイヤ改正があったのか、「それでも一応見てみよう」と
駅の中に入ると発車寸前、ラッキーでした。

タクシーの運転手さんにいろいろ話を伺ったのですが「イノシシも、筍も、鮎も
セシウムが含まれているので食べられない」という話が一番印象的でした。
今さらながら原発事故の大きさを感じました。夕べの地震といい、セシウムといい
早い終息を祈るばかりです。

それから、私たちは常陸大子までJRで来ることしか考えていなかったのですが
運転手さんによると那須塩原からなら車で1時間ほどなので、新幹線で来て
レンタカーを借りればもっと簡単に来られるとのこと、これなら父が元気な
うちにこのルートで連れてくればよかった、残念。
私の運転ではこの山道をレンタカーで上るのは無理、やはり地元のタクシーで
ないとと思い込んでいました。実際に来てみると、私の腕では無理としても
家族を頼めば何とかなったかも知れません。残念です。

でも日帰り可能がわかったので、再度チャレンジする気も起きました。
妹と私が空いていて、確実に翌日晴れるとわかったら、思いきって行こう!!
お父さん、また写真を持っていくからね (^。^)v