今大会は、今までと全く趣を変え、1日大会となります。
《未来に伝えよう この幸せを》のスローガンのもとに、花園流御詠歌を、若い人たちに・未来に伝えていく
機縁の大会と位置づけ、さまざまな新しい試みが取り入れられています。
その一つとして、何曲かはシンセサイザー・弦楽器・琴の伴奏でお唱えします。
光栄にも、私と仲間たちで琴の伴奏をさせていただくこととなりました。師匠の外山香師にも出演していた
だきます。演奏するのは「花園会御和讃」と「恩師追弔御和讃」の2曲です。

8月2日
 その数日前に楽譜が届き、早速練習してみることになりました。清水詠鑑先生と、楽音寺様、作曲者の
佐藤晶子氏立ち会いの下、演奏してみましたが、なにぶんにも楽譜を受け取ってから間がなく、四苦八苦
でした。

8月22日
 グループ邦友の練習があったので、この日も御詠歌の練習をしました。楽音寺様がおいでになり、
ご指導を受けて、だいぶそれらしくなりました。

9月3日
 いよいよ、本山妙心寺花園会館で総練習です。
 御詠歌を大勢でお唱えするので、どうしてもだんだん速度が遅くなります。私たちが走ってしまわないよう
要注意。♪=76という速度は、普通の琴の曲ではお目にかかることはありません。このゆっくりの速度を
身につけるのがまずは第一。
 しかし長年御詠歌を学んでこられた方々には圧倒されました。私も(琴だけでなく)御詠歌をじっくり練習
しなくては。
 さあ、あとは本番前日のリハーサルだけです。
NKホールの舞台に立つなど、この機会がなかったらあり得ないこと、精一杯がんばり、また楽しもうと思い
ます。

10月14日
 とうとうこの日がやってきました。明日は本番です。当初の予定よりも早く10時集合になったので、
家を出たのは朝7時。今日明日はけっこうハードな日程です。東京駅では京葉線の乗り替えに時間が
かかるのにびっくりしました。
 10時少し過ぎに、ベイホテル東急に到着、楽器も着いたので、早速広げて練習開始。
 昼食後、御詠歌の人と一緒に練習の後、3時頃NKホールに楽器搬送。
 太鼓のグループが練習していましたが、私たちも楽器の準備。琴は準備に手間取るのが難点です。
ホテルから会場に運ぶにしても、琴柱を立てたままというわけにはいかないので、いったん外して
カバーを掛けて、また会場で広げます。

 早めの夕食(弁当)を食べて、5時半頃からリハーサル。2曲の調絃がかなり違うので、琴は
1曲ずつ別の琴を使うつもりで、各2面用意しましたが、途中で琴を取り替えるのは今回の場合、
やはり見た目が悪いので、印をつけておいて一面で両方演奏することにしました。♯1つから
♭4つにするので、半分以上の弦の高さを変えなくてはなりません

 十七絃も同じことで、変えないのは1,5,8,12,15だけ、残りの12本を変えるのです。
ライトの当たっている中に琴を置いておくわけだし、チューニングが一番心配でした。
事実、リハでは失敗があったので、とても神経を使いました。

 私たちは9時半にリハが終わったのですが、その後もまだまだ続いていたようです。テロップの
文字が違っていたり、修整の仕事もたくさんあったことでしょう。本当にお疲れ様でした。
プロの舞台屋さんの仕事ぶりも見せて貰い、よい経験になりました。
 
10月15日
 さあ、本番です。今朝は7時に集合なので、5時半に起きて、6時に朝食のレストランに行きました。
今年は秋になってから天気の悪い日が続いたのに、今日は快晴。レストランの窓からは富士山が
見えました。その前に部屋の窓から見た朝日もすばらしかったです。
    

 7時からリハと言っても、演奏自体のリハはなく、確認程度です。
9時開場ですが、準備ができれば早くなるかも知れないとのこと、私たちはぎりぎりまで最終調絃を
延ばしました。とにかく心配だったからです。私がお借りした十七絃は低音部の5本が絹糸だったので、
特に伸びるそうです。開場したので、引き揚げて下さいと言われても、なおもしつこく調絃していたのは私です。

 楽屋からいったん外へ出て、私たちは下手から舞台に乗ることになっていました。ところが楽屋口の
ドアが開きません。内側から鍵は開いてるようなのに開かず、これは二重の鍵になっているのかしら?
などと話していましたが、「舞台へ」と担当者が来てくれた後も開かないので、慌てました。担当者を
捜してその旨を伝えたら、大あわてで走ってきてくれました。なんとドアはただきつかっただけでした。
どんと開ければ開いたのです。

 さて、舞台へ。琴の下にはチューナーを置いておきました。早速そうっとチェック、OKのようです。
最初は「恩師追弔御和讃」。うまくいきました。最後に全体でお唱えする時になると、舞台から、客席から
聞こえてくる御詠歌に包まれて、思わず涙がこぼれました。感動しました。この一瞬を共有できた喜び、
これは忘れられないと思います。私もできるところは一緒にお唱えさせていただきました。私もこの声の
中に入りたいと思ったからです。

 弦楽四重奏の伴奏による「般若心経御和讃」、そして伴奏無しの「生活信条御詠歌」のあと、
「花園会御和讃」です。
これはソロがあるので緊張します。そして琴から弦楽へ、弦楽のカデンツァから私が一小節一人で弾いて
弦楽と琴が一緒に演奏します。ここの出も緊張の一瞬です。そして御詠歌が入り最後は盛り上がって
終わります。指揮者の手が止まり、私たちのトレモロが振り切って終わった時、本当にホッとしました。

 NKホールは6000人もはいる大きな会場で、舞台中央には巨大スクリーンがあり、舞台や客席の様子が
映し出されます。ソロの所はきっと映るだろう、気を付けなくては・・・特に足(笑)。力を入れるとどうしても
足を踏ん張ってしまいます。低音二の押さえもあるので、腰を浮かせることもあるし、着物の裾も気を付け
なくては・・・。

 それにしても本当にすばらしい大会でした。その後会った寺庭さんはどなたも「すばらしかった。行って
良かった」と言ってました。お手伝いした私たちとしても本当に嬉しく思います。これだけの企画ですから、
担当の方々のご苦労は並大抵ではなかったことと思います。当日はトラブルもなく、無事予定どおり進行
しました。
快晴であったのも、大会を祝福していたかのようです。

 楽屋にモニターが無かったので、音声しか聞こえず、全体を通して見られなかったのは残念でした。
オープニングの三帰依も感動、御詠歌のシンセサイザーの伴奏もなかなかおもしろい曲の作り方でした。
午後の部の青山和子さんの「花園会御和讃」は楽屋で聴いていましたが、やはり演歌風に感じました。
金剛流の御詠歌はすばらしく、最後の部分しか聴けなかったのは残念でした。もっと早く客席に移動
すればよかったです。
 いつもの大会だと、交替で登壇するので、客席の移動もあるし、登壇の日が違えば、他支部の方と
会うこともありません。でも今回は全国から集まった会員が一堂に会しました。一緒にお唱えし、
一緒に感動を味わえました。この企画の目的は達せられたことでしょう。

こぼれ話を一つ。
弦楽器の方たちのつぶやきが聞こえました。「楽譜を見た時は楽勝だと思ったけど、この速度・・・」
そうなんです。♪=76なんて速度の曲は普通は無いのですよね。あまりのゆっくりさに、最初はつい倍の
速度で弾いてしまうのです。
そして一緒に箏を弾いてくれた人たちは、この二日間で御詠歌というものをだいぶ理解できたようです。

せっかくここまで来たので、帰りにディズニーランドに寄りました。ハロウィンで夜はこんなショーをやって
ました。40分にわたって、きらびやかな電飾マーチが続きました。