高野山・吉野山の旅 平成17年8月30〜31日


出発まで

 父が「高野山へ行きたい」と言うので、じゃあ一緒に行こうと言ったものの、相変わらずの生活で
ろくに準備もできないまま前日に・・・。一応、出発と帰りの電車を決め、宿だけはとってあったけれど
「高野山って不便なところにあるのだねえ」が実感。ツァーの方が楽だったかもと、間際になって
調べてみたけれど、こちらの予定にぴったりのものなど、今さら見つかるわけもない。ま、この際
のんびり電車の旅もいいかと、再度出発時刻の確認。

 「駅から時刻表」で調べた経路は、

 新大阪
   ↓   大阪市営御堂筋線
 動物園前
   ↓   徒歩5分
 新今宮
   ↓   南海電鉄
 極楽橋
   ↓   ケーブル
 高野山
 

私はこれで良いかと思ったが、父は徒歩5分の無い経路を探してパソコンで検索した結果、別のルートに
しようと言う。あわてて私も再度検索。今度はniftyの路線検索も使い、最終的に次のように決めた。

 新大阪
   ↓  
 大阪
   ↓  阪和線
 新今宮

 
静岡発  8/30

数日前の天気予報ではしばらく晴天が続くはずだったのに、台風が発生したので今日午後から雨の予報
新幹線ひかりに乗り、新今宮までまずは順調。大阪を過ぎた辺りから雨が降り出した。
 新今宮ではよく確認しなかったので、南海電鉄とは反対側の出口に向かってしまい、ホームを往復する
羽目になってしまった。私はかまわないが、なんせ父が83歳(^_^;)。
新今宮で、お弁当を買い南海高野線で極楽橋へ。

 席に着いたところ「この電車、高野山に行きますよね?」と話しかけられ、「はいはい、大丈夫ですよ。
私たちも行きますから」とそのままその女性と同席。
一人で東京から高野山に行き、宿坊で3泊する予定だそう。よく喋る方で、同席したサラリーマン風の
男性、さぞかしうるさかっただろう(^_^;)。 

途中橋本駅で後ろ2両を切り離すとのことで、後ろから2両目に乗っていた私たちは前へ移動。
この辺りから雨が本降りになってきた。電車はゆっくりと山を上っていく。ここへ線路を引くのは難工事だった
だろうなあなどと思いつつ、雨はどんどんひどくなる。

ちなみにこれは帰りに撮った写真なの
で、雨は止んでいる。
はるか眼下に家並みが見えた。
駅もあるけれど、人家はずっと下の
方みたい。

 そしてどんどん上って極楽橋に到着。 ここからはケーブルカーで上る。

ホームも階段 ケーブルカー到着 中ももちろん階段 下を見るとわーお (@_@;?)

 高野山
 

なんと、あんなに降っていた雨が止んだ\(^o^)/。
駅のポストも古い形で、似合ってる。
まずはバスに乗って奥の院へ。


バスを降りここから
歩く。
10万超の墓石と杉が
延々と続く
赤ちゃんを抱いた如来像
赤ちゃんのお尻がかわいくて
撮ってみた
浅野内匠頭の墓所

10万を超える墓石数だそうだが、織田信長・石田三成・春日局など知った名前の墓石が目に入り
苔むした様子が月日の流れを感じさせる。そして真新しい、企業のものもたくさんある。
日産自動車物故者供養塔には制服姿の従業員の像があり、新明和工業?だったかロケットの像が
立っている。航空機器を作る会社だそう。福助足袋はお馴染みの福助像ですぐわかった。

ここから先は撮影禁止、脱帽。
御廟橋を渡り、燈籠堂・御廟に
お参りして下る。

再びバスに乗り、千手院前で下車。ここでコインロッカーを見つけ、荷物を入れた。
出かける前には駅でコインロッカーに荷物を預けようと思っていたのに、駅に着くとすっかり忘れて
しまったのだ。

金剛峯寺
意外に地味な造り
屋根の上のこれは何? 山門 お遍路姿の方も


高野山が世界遺産に認定されたので,外国から来られる方が増えたと地元の方がおっしゃっていたが
確かに何人もの姿を見かけた。
右端のお遍路姿の方たちは、開経偈(かいきょうげ)・懺悔文(さんげもん)・般若心経・普回向と
フルコースでお経を読んでいらした。

金堂 根本大塔 かわゆーい(^_^)

金剛峯寺にお参りし、根本大塔の中を見学して、千手院前バス停まで歩いて戻った。
バスに乗り高野山駅へ。ケーブルカーで極楽橋まで下り、南海電鉄で今夜の宿泊地橋本へ向かった。

高野山駅前に駐車中のバス。
今は観光シーズンではないが、混むときにはこのバスもフル出動するのかな?
高野山は標高850mの山上に開けた東西約5km 南北約2kmの盆地。
1200年も前、飛行機もない時代にこの場所を見つけ、重機もない時代に
建物を建て、墓を造ったのだから驚く。
徒歩だけが手段の時代、墓参も山登りみたいだっただろう。
天気が悪く、観光シーズンでない今日もそれなりに大勢の人がいた。
やはり高野山。

橋本で泊

駅前で写真を撮って
いたら「遠くからお越しですか?と
声をかけられた(笑)。
これは南海電鉄の電車 こちらJR


一応旅館と名の付くところに泊まったのだが、もちろんお客は私たちだけで、料金は6500円と
安かった(^_^;)。前は道路ですぐ後ろは紀ノ川。
高野山へ来るなら宿坊で泊まる人が殆どだろう。私たちは翌日の交通の便を考えて
橋本にしたが、宿坊に泊まってもよかったなあ。

 吉野へ  8/31

朝から雨が降ってる。予報では一日雨、雷注意報なども出ている。どうしようかと迷ったが
もしかしたら昨日みたいに奇跡が起こるかもと、予定通り吉野山へ向かうことにした。
橋本からJRで吉野口へ、そこから近鉄で吉野まで。

橋本から吉野口まで、ローカル線らしい雰囲気で電車は進む。
ワンマンカーなので、停車してからドアが開くまでひどく時間がかかる。
「開くのかな?」と一瞬心配になるほど(笑)。
途中、駅でもないのに電車が止まったと思ったらバックし始めた。
オーバーラン、それもかなりの距離である。駅で待っていた人たちは列車が通り過ぎてしまい、
さぞびっくりしただろう。
運転手さんはぼーっとしてたのかな(^_^;)。そして何事もなかったかのように、乗客を乗せて
また駅を出た。

吉野口で20分ほど待ち、近鉄に乗った。お客は殆どいない。

終点吉野駅で降り、ロープウェイ乗り場へ。
ここでまたロッカーに荷物を預けるのを忘れた。
ロープウェイの発車がきっと電車の到着時刻に合わせてあるだろうから
乗り遅れないようにとついつい急いでしまったのだ。
乗客は私たちを入れて4人。(28人乗りだと言うが、それにしては狭い)
昭和3年建設というからできてからもう70年以上経っている。
(亡母が昭和2年生まれだったのですぐ計算できる(笑))
←ロープウェイの中から下を見た

 吉野山

奇跡は起きず、ロープウェイを降りたら雨は本降り  (/・_・\)アチャー
1日6本しか運行しないという吉野大峯ケーブルバスがまもなく発車とのこと、とにかく乗って一番上まで
行こうと無謀にも乗り込んだ。

二つめの停留所で他の乗客は降りてしまい、(-_-)という心境になったが、ご夫婦らしい二人が乗り込んで
きたので内心ほっ (*^_^*) 。行くと決めたはいいけれど、雨がひどいので父と二人では心細くなったので
ある。この雨の中を物好きに・・・と思われたかな(^_^;)

竹林院という停留所を過ぎると、建物はなくうねうねとした道をひたすら上るだけ。
けっこうな距離がある。終点奥千本口で下車。雨は相変わらず、降り続いている。
一時間後に下りのバスが来るという。

ともあれそこから金峯神社へ向かった。この道が勾配のきつい坂である。雨降りの中、リュックを
背負った父が心配になるが、どうする?と訊いたら即座に「行こう」の返事。
一緒だったご夫婦より遅れて、上っていった。どのくらいあっただろうか?150mくらい?
父にはかなりきつかったようだ。

やっと着いた。ここまで電線は来ていたが、水道はないのかな、トイレ(もちろんぽっとん(^_^;))の
そばにはドラム缶がおいてあり、蛇口がついていたから、手洗い用だろう
この神社はかつておおいに栄えたと書いてあったが、今は本当にひっそりという感じだ。

金峯(きんぷ)神社 金峯神社という額

雨はびしょびしょ、リュックもズボンの裾も濡れてしまった。
それでも屋根のある休憩所があったので、バスがくるまでそこで待つことができた。

ここのすぐそばに「義経隠れ塔」という小さな建物がある。
坂道を少し下るだけなので行ってみた。
レンズに水滴がついてこの通り。
父がとことこ降りていって「入り口は向こう側」だと言う。
この雨で足元が悪いのに・・・とこちらは心配。

この先二十分ほど歩くと、西行が若い頃数年間過ごしたという西行庵があるのだが、この雨では
どうしようもなく行くのはやめた。本当はせっかくここまで来たので、見たかったのだが、滑ってしりもちでも
ついたら着替えはないし、まして怪我でもしたら大変。
しかし、こんな所に?本当に住んでた?というのが実感。若い頃というのには真実味を感じるが。
年取ってからはとても無理(笑)。

静御前が吉野山で義経と別れたというが、吉野山のいったいどの辺り?
白拍子がこんな山奥まで上ってこられるほどの健脚だったのか?舞で足が鍛えられていたのかな?
などと考えてしまう(^_^;)。

神社の休憩所で雨宿りしてから、バスの来るのを停留所で待ったが、ここは屋根がないので
またまた濡れてしまった。

そしてやっとバスが来て乗り込んだが、これはケーブル乗り場までは行かず、竹林止まりだとのこと。
仕方ないので、とにかく竹林で降りて、昼食にした。
シーズンオフの雨天で観光客などほとんどいない。
「葛うどん」というのがあったので、注文した。
葛で汁をとじてあるのかと思ったらそうではなく、葛の入っているうどんだそう。食感がふつうの
うどんと少し違う。なんというか、もっちり感が少ない。
椎茸・筍・山菜を煮てから揚げてある天ぷらがのっていて、おいしかった。

さて、次のバスに乗ろうかとも思ったが、気のせいかすこし小ぶりになってきた。
店で訊いたら蔵王堂までは12.3分だそうなので、歩いて下ることにした。父にはちょっと気の毒だった
ので、せめて荷物を背負ってやることにして。

でも歩いてみて良かった。古い家が建ち並び、吉野葛や柿の葉ずしの店がたくさんあった。
もっとも閉めてある店も多かったが。
写真を撮ろうと思いつつ、雨が降っているので傘を差しているし荷物もあるので結局あまり撮らなかった。

蔵王堂についたので拝観。大きなお寺だ。そして下っていくと仁王門があった。これも見事。

奈良時代に創建された金峯山寺は、中世に多数の僧兵と塔頭を擁して大いに栄えたというが
この建物を見るとなるほどと思う。しかし反面、この高い山に・・・・とも思う。
昔は山に人がたくさん住んでいたと言うが、現在のように都市部に人口が集中するのをみていると
なかなか想像しにくい。

こちらから入ったのだが

本堂は南向き
金峯山寺(きんぷせんじ)
本堂の蔵王堂は国宝
金峯山寺は役行者が
開創したという修験道の
根本道場
仁王門
これは北向き

歩いているうちにロープウェイ乗り場に到着。せっかくだから葛のお菓子など食べていこうかと
付近を回ったがどこも店は閉まっている。まもなく発車というので、乗って下へ降り、電車の時間の
確認。予定していた電車には乗り遅れていたので、それより一時間後のにしようと思って確認すると、
今日はこの電車はありませんよ (@_@;?)。
30分くらい余裕があるはずなので葛菓子を食べようと思っていたのに(-_-)。

5分後に発車の今止まっているこの電車に乗るしかないけど、お土産を買いたいので急いで
駅前の店を覗いた。
葛粉や葛羊羹、葛湯など買ったのだが、お店の人の方が時間を気にしてくれた(笑)。
全席指定の特急に乗ったのだが、私たちの乗った車両に他の乗客はいなかった。

そして橿原神宮前で乗り換え、京都駅へ。途中で雨は止み・・・というか、車窓から見たら
地面が濡れていなかった。京都駅ではひかりに乗るのに少し時間があったので、
父に駅ビルのエスカレーターを見せに行った。

この建物は古都に似合わないという反対意見も多いそうだが、父は見たことがない
というので、ともあれ一番上まで上ってみた。
「ああ、疲れた」そう(^_^;)

静岡帰着、お疲れ様。
吉野で葛のお菓子を食べ損ねたのがかえすがえすも残念。楽しみにしていたのに。