第60回静岡東教区御詠歌奉詠大会


教区の御詠歌大会は毎年5〜6月に開かれ、第一部から第四部が
回り持ちで開催します。今回は私たち第一部(藤枝〜静岡)が当番です。
通常は各支部がそれぞれに御詠歌を発表しますが、今回は少し形を変えてみようと
私たち寺庭で相談し、支所の許可を得ました。

どんな風に??

登壇した人たちが「舞台に出て良かった、良い記念になる」と思えるようにしたい。
聞いている人たちが「御詠歌ってこんなふうにもできるの?すばらしい」と思えるようにしたい。

なぜって?
「御詠歌」と聞くと「ああ、あの暗い、調子外れの・・」「お念仏」という答が返ってきます。
「御詠歌」を学ぶことで、仏様の教えや私たち臨済宗妙心寺派の歴史・宗旨などを理解する
ことができます。ともに御詠歌を学ぶことで、楽しい一時を過ごせます。そして1曲ずつマスター
するごとに達成感を味わえます。声を出すことは健康にもよし!!
なのにこんな先入観!!御詠歌のこのイメージを何とか少しでもくつがえしたいのです。

みんなで考えました。

大会に出るのは大変ね・・・と思っている会員さんにもとにかく出て貰って、「これならまた出たい」と
思って貰えるようにするにはどうしたらいい?
見ている人が飽きずに過ごすにはどう工夫を凝らす?

結果、他部は通常通りの奉詠として、私たち第一部は個々の支部での登壇でなく、企画ものを
考え、全員まとまっての奉詠としようと提案しました。

お釈迦様の生涯を御詠歌で綴ろう。

お釈迦様の三大記念日の御詠歌があります。
「釈迦如来御誕生御和讃」「釈迦如来成道御和讃」「釈迦如来涅槃御和讃」です。

私たち第一部の会員は、支部ごとでなく、合同で3曲のうちどれかに出てもらい
どの御詠歌も全部やろう。・・・・普通は時間制限があるので1番とか2番しか唱えません。
ただだらだらと全曲唱えると飽きるので、なんとか工夫を凝らしてみよう、と言うことで

御誕生には舞を・・・高齢ながら舞のできる会員さんがいるので、この際披露して貰い
また希望者が習って今後に伝えていこう。
成道は照明などで工夫、明けの明星を光らせたいね。
涅槃は所作を入れよう。お釈迦様入滅の時、沙羅双樹がハラハラと散って枯れてしまったと
いう言い伝えに因んで若い和尚さんたちに散華をして貰おう。

と決めました。
その他にも「全部を全員で唱えるのではなく、左右に分かれて交互に唱える」「最後列は
歩いて唱えながら位置に着こう」など、次から次へとアイデアが出てきました。
御詠歌をする方は一般的に高齢者が多いので、歩いて入場というのは難しいですが
小人数でいいのでなんとか実現させたいです。マーチングバンドまではいかなくても、
坐った位置でそのまま奉詠ではなく、左右からそれぞれ入場、横向きから前を向きなど
と動きが出ると見ていて楽しいですよね。もっと進めて、立詠で歩いて来られると最高
なんだけど、若手が増えないと難しいでしょう。

私たち寺庭は「釈迦如来涅槃御和讃」の所作の特訓です。そして
運営委員会を開いては練り上げていっています。この3和讃の出場者はなんと合計で
200名ほどになりました。練習も大変ですが、何とか成功させたいです。

それから「こんなにすてきな御詠歌もあるよ」と知って貰いたいために、フィナーレは

花園会御和讃      二重唱 琴伴奏つき
みほとけは御和讃   二重唱 キーボード伴奏つき


と決めました。

御詠歌に興味を持っていただくために、チラシを作って配布しようと、早速運営委員の一人が
作ってくれました。

チラシはこちら→
 ちらし

御詠歌の会員さんの減少は臨済宗だけでなく、どこも同じような傾向です。この大会を通じて
興味を持って下さる方が出て、少しでも会員さんが増えるといいのですが。

どうぞ御詠歌大会にお越し下さいませ。


何回となく運営委員会・実行委員会を開き、曲ごとの合同練習をしてきました。夜7時から始めた
運営委員会が終わったのが11時という日もありました。運営委員だけでなく、実行委員である
各寺庭さんも自支部の会員さんの指導に声を張り上げ、大勢の会員さんを抱える支部は練習と
なればバスをチャーターして練習会場のお寺へ出かけました。会場となるグランシップでの
リハーサルも2回行いました。本番会場でのリハなど普通はできませんが、高齢の会員さんも
多いのと、当日リハができないので、リハーサルを実際に会場でした方が、自分の動きを覚えられるからと、お願いしました。
お金のかかることだけに、すべて二つ返事で了承して下さった、部の事務局に感謝しています。

さていよいよ本番となりました。雨模様の時期でしたが、この日は晴れて「絶好の大会日和
\(^o^)/」。ところが実際には午前のかなり早い時間から(天気予報に反して)雨が降り始めた
ようです。しかし、みんなやる気満々、会場は熱気に満ちあふれていました。



午前中、及び午後2時頃までは、2〜4部の奉詠でいつも通り、各支部毎に登壇しては、お唱えの
繰り返しで、順調に進みました。開会式です↓



昼休みには私たち「邦楽アンサンブル奏〈KANADE〉で、演奏をさせて貰いました。
曲目は琴伴奏による歌、「のんのさま」「妙心のうた」「子守歌」と琴尺八四重奏「さくら21」です。



午後の部の開始とともに、2階席にいた第一部の会員さんたちは舞台袖に向かって移動。
かねての打ち合わせ通り、靴は座席に脱いで、黒いソックスを履きました。
一階席後部は出演者でなく、一般のお客様の席にしてあったのですが、浜松からバス一台で
いらして下さった方々がおられたこともあり、満員で坐れなかったようです。御詠歌大会では
出演者以外の見学者はほとんどないのが普通です。今回はチラシを作って、皆で宣伝しましたが、
それぞれのお友だち、お知り合い、また他宗の皆さんなどおおぜいいらして下さり、中には
座れなかった人もいらしたそうで、申し訳なかったです。

先ずは釈迦如来御誕生御和讃、この曲は100人で奉詠です。左右に広がっているし
列は4列にもなるので、左右でずれてしまわないか心配しましたが、何とかもちこたえました。
舞も揃いの衣装に銀色の舞扇を各自2枚ずつ持っての熱演、見事でした。





釈迦如来成道御和讃では、「山の遠近(おちこち)尋(と)め給う」の歌詞に合わせて、最後列は
お唱えしながら歩いて入場します。停止したところで明けの明星がぴかりと光りました。
下の方にはお釈迦様がお悟りを開いたあと身を清めた、尼連禅河に因んで漣の照明を
入れてもらいました。うちの住職はこの成道御和讃の御詠歌を聞いていると、修業時代の
蝋八大接心を思い出して胸がじんとすると言ってました。



釈迦如来涅槃御和讃では1.2番は鈴鉦つきで通常の奉詠、3.4番は鈴鉦無しで
寺庭は所作をつけました。写真ではよくわかりませんが、二列目の人たちが、左手を上に上げ
右手は膝の上方にあるのがわかると思います。所作は楽譜のない時代、メロディを覚えるために
考え出された手の動きです。



和讃の4番から御詠歌にかけて散華をしました。
舞台上では沙羅双樹に因んで4人、客席では8人の和尚様たちに合計2000枚の散華を
まいて貰いました。予想通り、散華が始まると会場は騒然とし、私は満足(^_^;)。



それぞれの御詠歌の間には東国寺副住職様によるナレーションが入り、その間に舞台の
配置を変えます。奉詠後、御詠歌の道具を作法に則ってしまいますが、これが意外と時間が
かかります。その後退場、急いで舞台係が椅子を片付けたり、並べ方を変えたりし、
次のメンバーが入場となります。一応、一連の動きにかかかる時間を予想して、ナレーションの
長さを指定してお願いしたのですが、リハーサルではちっともうまくいきませんでした。
ナレーションが終わると同時に詠題を始めたいのですが、リハではとっくにナレーションが終わって
いたりしてあわてたものです。ところが本番では奇跡的にうまくいきました。本当に奇跡としか
言いようがないです。

フィナーレは寺庭21名による「花園会御和讃」(琴伴奏)「みほとけは」(ピアノ伴奏)です。
練習の甲斐あってうまくいきました。







こうして御詠歌大会は終わりました。
私たちの奉詠の模様はビデオで撮影していただき、DVDに焼いて出演支部に配っていただき
ました。
6/10には会員さんたちの慰労会を催しました。お茶や田植えと忙しい時期でしたが、それでも
出演者200名のうち130名が参加して下さいました。何よりも高齢の人も多いのに、慰労会の
ドタキャンが皆無だったのは、如何に皆さんが慰労会を楽しみにしていて下さったかの結果だと
思います。私は父の介護のため、早々に退出しましたが、DVDを見てからの意見交換では
たいそう盛り上がったそうです。運営委員でもちよった心ばかりのプレゼントを配り、ゲームをして
とても楽しかったそうなので、それを見ることができなかったのはとても残念です。

運営委員だけでなく寺庭がみな熱くなった御詠歌大会、一生の思い出です。
さて「終わり=次の始まり」です。四年後を目指して、またアイデアを温め始めました。