平成26年度まつの会研修会


「まつの会」は本山(妙心寺)主催の寺庭婦人対象の仏教通信講座受講生OGによる自主研修組織です。
運営は全て会員の手で行われ、毎年総会・研修会が行われます。私も過去に2期4年、会報係を務めました。
寺庭婦人会・仏教婦人会と私たちの関わる組織はいろいろとありますが、まつの会は最強(^_^;)の組織です。
私は住職が常葉学園研修センターに勤めていて夜不在、そのため平日に子どもを置いて泊まりの研修に
出かけることはできませんでした。仏教通信講座も1期生として受講したものの、とうとうスクーリングは行けず
じまい、まつの会にもずっと不参加でした。そんな私にも役員をとの依頼がきて、末息子高三の年、役員を
受けると共に初めて役員会や研修会に参加することになりました。初めての役員会で妙心寺に行きましたが
当時はまだ御詠歌もやっていなかったので、本山へなど足を踏み入れたこともありませんでした。

そして役員面々は強者揃い、私とて寺庭婦人会の役も経験しているのでびくびくしていたわけではありませんが
最初の会議で雰囲気に圧倒され、役員を受けたことを後悔したのでした(^_^;)。

最初の年の研修会会場は天龍寺でした。「会報係は紙面作成、印刷、発送全てやるのよ」と言われ (@_@;?)。
天竜寺管長から原稿をいただけるはずでしたが、「忙しいので今日の法話を会報係でまとめて欲しいと言われた。
録音はとったから」と会長からテープを渡され、呆然としたのでした。

それでもこの一件で私もずいぶん成長しました。テープを聴き、止めては聴いてなんとか原稿をまとめ、天龍寺に
送って、チェックを受けました。こういう場合の依頼文の書き方など相談に載って貰えそうな友人知人のアドバイスを受け
何とか乗り切りました。巻頭の原稿は妙心寺管長であったり、花園大学の学長であったりしたため、原稿依頼のお手紙を
書いたり、私が書いた文書のチェックをお願いしたりするには本当に気を遣いました。でも何でも経験です。

さて、役員を降りたあとは、忙しさにかまけて毎年出席とはいかなかったものの、時々参加していました。
そこへ、今回はなんとかの有名な神宮寺、高橋卓志師が講師ということで、喜び勇んで参加申し込みをしました。
副住職に「かあさん、しっかり話を聴いてきて」と激励されて出発です。

長野県松本市へは、甲府周りで行くことにしました。身延線と中央線です。
バスで身延山へ行ったり、御詠歌大会で長野へ行ったことはありますが、身延線は初めてなので楽しみでした。
富士川に沿って上っていきますが、川の上流へ向かう車窓からの眺めを楽しみ、あの集落はどこなんだろう?
向こう岸にも集落があるが、橋はどの辺にあるのだろう?などと目が離せませんでした。ちょっと居眠りした隙に
周りは平地に・・・、あ、甲府盆地に入ったのだろうか?帰りは居眠りせずに、静岡と山梨の境をじっくり見てきました。

長野駅に着くと役員さんがお出迎え、そして懐かしい顔に出会って話が弾みます。まつの会は向学心にあふれた
寺庭の集まりで独特の雰囲気があります。

研修会参加者には事前に著書「寺よ変われ」、神宮寺報2冊と「あなたが旅立つ日のために」(神宮寺における
葬儀の手引き)が送られてきました。寺報といってもけっこうボリウムがあって、電車の中でも目を通してやっと読了。

  

会場に着くと、上右のようなファイルが各自に用意されていました。
今回、研修依頼に対して高橋卓志師に最初は断られたそうですが(東日本大震災以降、時間が取れないので講演
などはすべて断っているそうです)食いついたら離れない目時会長の押しに、とうとう受けて下さったのだそうです。
でも一旦受けてくださったらこの資料の量、さすがです。右のファイルも24枚の袋がついていますから。

まつの会の総会のあと、師により神宮寺の活動、特に葬儀についてお話があり、その後会長を死者として模擬葬儀が
行われました。前日、役員は「葬儀を作る」と称するワークショップを受け、模擬のお通夜をやり、会長は実際に棺に
入ったそうです。私も参加したかったです。

  

アバロホール、この他に本堂や庫裏でも葬儀は行われるそうです。
花祭壇は、遺族との話し合いを反映してデザインされます。
 
  
  
ホールに並べられていた骨壺の見本。

 

さていよいよ目時会長の葬儀です。
高橋師は、葬儀が決まると遺族と話し合い、故人の生涯を映像化するそうです。
写真を30〜50枚選んでもらい、この話し合いに基づいて映像の中に入れる文言を作成、
バックに流す音楽を選定して映像を制作しますが3〜4時間かかるそうです。

  

この模擬葬儀のために作られた映像。バックの音楽は山口百恵の「さよならの向こう側」
ぴったりでした。

 

葬儀の重要なポイント、引導、香語などについても簡単な説明がなされ、表示されます。

役員が述べた弔辞や喪主の挨拶が真に迫っていて泣けてきそうでした。

それから師は現在ガン患者支援施設を設立を考えておられるそうです。それは
私も5/18の毎日新聞で私も読みました。その視察に行ったとき、イギリスで
聞いた「スイスでは自発的安楽死に取り組むNPOがあるよ」とのことばに実際に
スイスにもいらしたそうで、その安楽死が実施される瞬間の映像を見せていただき
ました。なんとも言えぬ気持ちになりましたね。私も父の介護を経験し、周りの人の
介護の苦労も多数聞いています。実際に檀家さんに「安楽死はさせて貰えないもの
かね?」ときかれたこともあります。人は自分で死ぬ時期を選ぶことができない今の日本、
つらい生活をしている人も多いと思いますが、やはりこの映像はかなりショッキングでした。

午後の研修はここで終わり、宿へ移動、夕食後は模擬葬儀の感想や神宮寺の活動に
ついて、班別討議をしました。

  

  

この石の羅漢像がなかなかいいのです。表情がね(^_-)☆

 

板戸に描かれた十牛図

  

  

これらの襖絵は丸木位里、俊夫妻が描かれたもの、左の襖の後ろに坐っている
おじいさんが丸木位里さんというのはすぐにわかりました。

  上の涅槃図もいいですね。

翌日、また神宮寺に戻り、夕べの討議の結果発表、質疑応答などして11時に研修は
終わりました。高橋師のお話をこんなにたくさん聴くことができて本当に嬉しかったです。
お盆法要なども是非見てみたいと思いますが、こちらもお盆なので(^_^;)。

師の活動状況を聴くと、まさに超人的、同じような年齢なのになんというタフさ!!と
思います。秘在寺も神宮寺に比べれば何百分の一でしかありませんが、「みんなのお寺」
目指して心新たにがんばろうと思った研修でした。

タイのHIV患者救済のために師が始めた事業である、作務衣の制作販売に賛同し、
作務衣を一枚買ってきました。幸いにも副住職のサイズにぴったりで良かったです。

昼食と松本城見学というオプションもついていましたが、私は長野での御詠歌大会の時
松本城には行ったので、今回は終了後駅へ向かい、塩尻で一旦降りて、友だちと旧交を
あたため、帰途につきました。心配した雨もたいしたことがなく無事帰宅。

そうそう、高橋師は模擬葬儀で使った映像を全参加者(50名)にコピーして下さいました。
帰宅翌日は早速そのDVDを住職や家族と見て、報告しました。