西国33

                                            平成19年4月30日〜5月1日


ゴールデンウィークにじいちゃんと旅行に行こうという子どもたち、最初は娘と次男の二人で父を連れて
いくつもりでいましたが、最近の父の様子を見ていると、普段同居していないこどもたちではちょっと
心配なので私もついていくことにしました。

妹と私と交替で父を連れて行っている西国巡礼ですが、だんだん交通の便の悪いところが残ってきました。
4月17日には、毎月17日だけバスがでるという岩間寺へ妹が行ってくれました。

さてどこへ行こうかと思案、いつもお世話になっている太田さんにも相談した結果、子どもたちが運転して
くれるなら、車でなければ行きにくいところへ行ったらとのアドバイスをいただいたので、二転三転の結果
29番松尾寺・28番成相寺・25番清水寺・番外花山院菩提寺に決めました。

@ 静岡→京都→西舞鶴 レンタカーで松尾寺と成相寺に行き、宮津泊

A 宮津→清水寺→花山院菩提寺→三田でレンタカー返却→新大阪→静岡

レンタカーは西舞鶴で借り、兵庫県三田駅前で乗り捨てることにしました。
たぶん狭い山道を通るだろうから小さめの車をと予約したときには「ゴールデンウィークだからあるか
な?」と言われましたが、折り返しいただいた電話で「ありましたぁ!!1300ccで翌日三田乗り捨て、
大丈夫です」と明るい声。
こういう事務員さんだとこちらも嬉しくなってしまいます。

一日目

8:12発のひかりに乗りましたが、「きっといっぱいだよ」という心配は杞憂で、先頭車両はがらがらでした。
京都で「特急まいづる3号」に乗りましたが、これは途中の福知山で「はしだて3号」と分かれます。
初めに並んでいた位置は、はしだての方だったので、あわてて並び直し。父がいるのでとにかく坐れ
なくては困ると思ったのですが、こちらも混んではいませんでした。

西舞鶴には大学の同級生がいます。彼女とは同姓同名で字まで一緒でした。たった30人しかいない
食物科で同じ苗字が4人、その中で同姓同名が2人、確かに私の旧姓はとても平凡だし、名前も平凡。
私たちはA、Bと識別記号を付けられ、ついにはA子さん、B子さんとなりました。今では二人とも
苗字が変わっていますけど。

西舞鶴に12時着、駅まで来てくれた彼女と一緒に昼食を食べ、
ホシギキョウの苗をいただきました。


さていよいよレンタカーで出発です。車はフィット、見かけより中が広くて、体格のよい私たちでも
全然狭く感じません。好天で風はさわやか、車は少なくて快適ドライブです。
まずは松尾寺。国道から寺への道へ折れると、人家も何もなく、うねうねと道が続き、途中には
結構狭いところもあります。子どもたちが、この先に本当に寺があるのかな?という顔をして
いるので、「行くと、びっくりするような大きなお寺があるよ」と巡礼経験者の私はしたり顔 (^。^)v。

29番札所 青葉山松尾寺(まつのおでら)



祝日でもあるし、さすがに札所だけあって、けっこうお参りの人がいます。たい焼きを焼いている
店も出ているし、土産物屋も出ています。幸い一番近くの第1駐車場に止めることができました。
係の男性が何人もいます。チューリップは古いお寺には似合わない感じでしたが、とても
きれいだったので載せておきます。本堂では鰐口のたたき方を熱心に指導しているおじさんがいて
「綱をそのまま引っ張っちゃダメ、持ち上げ加減にしてこういう風にたわんだ状態にしてから
振る」と手をとって教えてくれました。

  

ボタンの鉢がたくさんあって、きれいでした。
さて、次の成相寺までは1時間半ほどかかるそうなので、のんびりしてもいられません。

28番札所 成相山成相寺

成相寺まで車でないとすると、橋立駅から徒歩・船・ケーブル・バスと乗り換えて行かなくては
なりません。湾を大きく回る形にはなりますが、車で行けるのは助かります。

丹後街道を走る途中、舞鶴湾で大きな自衛艦や赤レンガ倉庫群が見えました。

 

もう夕方ですが、やはりお参りの人はけっこういます。右は「つかずの鐘」

  

寺からさらに上ると展望台があるそうなので、行ってみました。がたごとと車は大きく揺れ、
晴天続きなので埃がひどいです。
しかし、上ってみればこの絶景!!、すばらしかったです。
眼前の景色を説明した看板はあったのですが、右の写真の輪が何を意味するのか書いてない。
なんだろう?
今夜は宮津のホテルに泊まるのですが、せっかくなので智恩寺にも寄ってみたいです。
しばし眺めを楽しんだ後、下って智恩寺に向かいました。
門前の商店街では「智恵の餅」が売られています。娘曰く「私の名前がいっぱいある」(^_^)。

 

智恩寺は日本3文殊に数えられる古刹でうちと同じ臨済宗。
文殊堂にもお参りしてから、すこしだけ散策。息子は橋立の半分ほどまで行ったそうですが
私たちは父と茶店で休憩。もう6時近くですが、今日行ったうちでは一番にぎやかでまだ
たくさん人がいます。。
夕暮れの景色もなかなかのものでした。

ホテルへは車でちょっと走らなくてはならず、遅くなってしまいました。
埃もかぶったことだし、とまずは温泉に入ったのですが、息子がいたので父も大風呂にはいることが
でき、よかったです。足元の怪しくなってきた父を一人で大風呂に入れるわけにもいかないので。
ホテルは廊下をはさんでどちらの部屋も海が見える場所にありました。

二日目

朝起きると雨が降っています。昨日、天気がよすぎました(^_^;)。

レンタカーのナビに従って、京都縦貫自動車道を進みましたが、前後に車が一台もいない状態が
しばらく続きました。本当にすいています。
綾部JCTで舞鶴若狭自動車道に進み、丹南篠山口で降りてあとはナビに従って(^_^;)清水寺へ。

25番札所 御嶽山清水寺 みたけさんきよみずでら

この辺りの民家は屋根の造りがまるで神社のような感じのお宅が目立ちます。
写真を取り損ねてしまいましたが・・・。
さて山道を上り始めます。途中料金所があって一人300円の拝観料を払いますが、拝観料と
いうより、これから3kmほどのぼる清水寺登山道の料金のようです。徒歩なら無料だそうですから。
しかし徒歩ではとても・・・(-_-)。車でもずいぶん遠い気がしましたから。

雨はほとんど止んだ状態になっていたのですが、仁王門前で車を降りて歩いていくと 
雲の中にいるかのように霧に包まれました。昨日とはうって変わって肌寒いです。
お参りの人も数人だけでした。

 

 

 

参道の脇には九輪草が植えてあり、しゃくなげなどいろとりどりでした。
水仙もあったので、きっときれいだったことと思います。
それにしてもこの山の上にこれだけの伽藍、西国33観音のお寺はどこも大きくてびっくりしますが
よくこんな所にとどこでも思います。

番外 花山院菩提寺

 

こぢんまりとした本堂が印象的でした。
 晴れていればこのように瀬戸内海・小豆島まで見えるそう。

ここの本堂に置いてあった「巡礼者への法話その1」、帰宅してから読みましたが、

・写経を奉納した証としてお寺が授けるのが御法印、下手でもいいから写経して、本当の意味での
 納経帳を完成させてください。お寺の方も、写経を頂戴してこそ、手元に残された写経を通じて
 その巡礼者に対するお祈りができるのです。
・おいずるは巡礼修行者たちが、巡礼をして真に生まれ変わるための死に装束として着て詣ったもの。
 だから結願の華厳寺においづるを脱いで納めて、生まれ変わった境地になって巡礼を成就していった
 のです。いつのまにか臨終に着せる衣としておいずるに印を受けて持って帰るようになってしまいました。
・巡礼ができるというのは恵まれた人です。巡礼は札所を巡る行為そのものが目的ではなく、御仏の子
 として真に目覚め生まれ変わることが目的であり、単なるご利益信仰ではありません。巡礼は「心」を
 見つめ、「感謝」や「報恩」の行いができる自分づくりのためにするものです。巡礼中は自分の魂の
 向上につながるように自らを律し、心地よい精神的な緊張感をもちながら巡礼することが求められます。
・寺側でも巡礼者を観光客のように接客応対するところもあるので、「お客様」という態度でお詣りする
 人もいるが、修行者であるべき巡礼者が神仏(寺)へのお客様になったのではもう巡礼者ではあり
 ません。

このようなことが書いてあって、巡礼について反省させられました。
秩父34観音を終えて、観音巡礼をもっとしたいと思い始めた私ですが、心して継続していきたいと
思います。西国は父の希望もあって、妹と交替ですので私のお詣りしていないお寺もありますが、
いずれ一人で詣ってみたいと思います。四国88カ所はいつか寺庭さんや友だちとお詣りする予定ですが
板東33観音は、一生かけて一人で巡礼したいと思います。できれば写経をして。

今回は子どもたちのお陰で、父と共に楽しいお参りの旅ができました。成相寺などどうやって行こうかと
気になっていたので、こんな風にスムーズにお詣りできて、嬉しかったです。
父と2人より、4人の旅は倍楽しい、そして最後にぴしっと厳しい教えを受けて気持ちも引き締まりました。

宮津からどのくらい時間がかかるかわからなかったのと、父の体力を考えてゆったり目のスケジュールに
したので、三田の駅には1時に着いてしまいました。3時に返却する予定だったので、昼食を食べてから
車を返し、電車に乗って帰途につきました。