静岡市中由緒寺院巡り  

                                           平成24年3月4日

日帰りの参拝旅行はだんだん選択肢がなくなってきました。
そこで今回は他宗派の寺院をお参りする計画を立てました。
ところがつぎつぎと障害が(;_;)・・・。
地域の草笛の会(老人会に代わるグループ)の総会の日とかちあい、他の理由もあったのだろう、
申し込みが少なくあちこちお願いしてやっと19名。
昼食予定だった葵タワーの最上階(25階)のレストラン・ヴォーシェルは結婚式の予約で×、
そして3/4は駿府マラソンなので午前中本通は通行止め、はてさて午前中に不去来庵、教覚寺に
行くのにどうしよう?

そして極めつけは寒さと昼からの雨でした。本当に冷たい日で参加して下さった皆さんには
心から申し訳なく思います。と言っても天気は私の力でどうなるものでもないのですが。

洞慶院

  

杉の大木が茂る参道はプチ永平寺という感じ。
伽藍配置図を見ると、本堂・庫裡の他に、坐禅堂・衆寮・たくさんのお堂があり
ます。

  

本堂には法事の仕度がしてあったが、まだ時間があるのでどうぞと言われ
あがって般若心経をお唱えした。右は梅花観音。ここ洞慶院は曹洞宗梅花流御詠歌
発祥の地なのです。

  

見事な涅槃図が掛けてありました。

  ぶらさがっているのが「おかんじゃけ」

開山忌参詣のお土産として沿道の露店で売る郷土玩具。女子が髪結い遊びに使う。



台風の被害だろうか、倒木が何本もあった。この老梅、幹はほとんど枯れているようだが
枝には花がついている。オブジェのような感じだった。

  

雨がまだ降ってないからいいようなものの、寒かった。もっと陽気がよかったら
境内も梅園もゆっくり見て歩いてきたのに。

駿府マラソン

本通は通行止めなので、その北側でバスを降り、南に向かいましたが、歩いても
渡れません。

 

最初、上くらいの時は渡れるかなと思いましたが、ランナーのすき間を
縫ってこちらも走って渡らなくはならず、高齢者もいるので無理でした。
そうこうしているうちに、下の写真のようにランナーが密集状態になり
ますます無理、地下道を回って下さいと言われ、杖をついている人もいるので
気の毒でしたが、上右のように全員で地下道に向かいました。

  

不去来庵では、当主の方に案内していただけることになっていたので
時間調整のため、マラソンを見ていました。
繰り返しますが暖かければこれもまた楽しですが、寒くて寒くて o(>_<)o。
でも駿府マラソンを目の前で見るのは初めてです。空には取材のヘリが飛び
ランナーの中には仮装している人もいるので、見ていて楽しいです。
ハーフマラソン・10km・5km・3.2kmとあり、スタートは9:20から順次なので
ランナーの途切れることはありません。

不去来庵

町中にこんな所があったなんて・・。これは伊豆屋を屋号として「伊伝」の通称で知られる
渡邉家の持仏堂で、静岡銀行本店裏両替町通りにあります。



  

これが入り口、身をかがめて入ります。 こぢんまりしていますが、凝った作りです。
不去来庵については伊豆屋伝八文化振興財団のHPをどうぞ。
 http://iden-foundation.jp/c_5.html

当主の渡邉氏が待っていて下さり、案内して下さいました。
あがらせていただき、説明をうかがったあと、般若心経を唱えました。

  

中を見学しましたがすばらしく凝った造りです。個人がこれだけのお堂を建てるのです
から信仰の深さが想像できます。

回りに広大な 屋敷・土蔵がありましたが静岡空襲で全焼し、お堂の屋根にも2本の焼夷弾が
突きささり発火しましたが、中まで入らなかったので焼失を免れ、焼け野原の中に忽然と残った
そうです。

  

上の写真のお堂壁面に点々と見える黒い部分は、空襲の猛火にさらされ石の内部から溶け出した
イオウ性物質。右写真はこの中で粘土を練っては壁に貼り付けて封印したという器。
壁は一尺厚さの漆喰塗り、回廊や腰には伊豆石を使ってあり、それを密閉したので
中へ火が入らなかったのでしょうか。何としても焼かれないようにと、必死で粘土を塗り続けた
姿が目に浮かんできます。一面焼け野原の中でこのお堂がぽつんと焼け残っていたなんて
本当に奇跡です。



きれいに手入れされたお庭には梅などが咲いていましたが、この白い馬酔木が
印象的でした。

教覚寺

歩いて常盤町の教覚寺へ向かいました。法事があるので、合間の時間に
拝観させていただくことになっていましたが、予定よりかなり早く着いてしまい
ご迷惑をかけました。寒くさえなければ、よかったのですが、寒さと駿府マラソンで
なかなか時間が読めなかったのです。

  

本堂で教覚寺についての説明を受け、その後真宗のお経を教えていただきました。
右は法縁廟(合同墓)で「光寿無量」と書いてあります。

江戸時代には駿府96町のうち、この教覚寺境内だけで常慶町1町内だったそうです。
建物については禅宗のお寺とは本堂の作りが全く違います。

鎌倉時代の作と言われる聖徳太子像を見せていただき、教覚寺をあとにしました。

昼食は中島屋ホテルチェーンの一つ、八幡四川飯店&ガーデンズで中華料理です。

  

この店は1階が駐車場、2階がレストランと庭です。一番花の少ない時期ですね。

蓮永寺

食事を済ませてバスに乗ると、とうとう雨が降り出していました。

  

蓮永寺は平成の大改修中でした。右の写真の看板の後ろにみえるのが本堂ですが
あの大きさ、古さでは維持するのも大変だろうと思いました。


  

左が勝海舟の母、信子、妹じゅんのお墓です。この二人が静岡にどういう縁があった
のかちょっと調べてみたのですがわかりません。

右が徳川家康の側室、お万の方のお墓。回りを見ると、台風の被害?がひどかった
ようで倒木があちこちに見られます。

寒さがピークですo(>_<)o。「もう、バスに入っても良い?」「どうぞどうぞ」

蓮永寺の奥にある旧陸軍墓地に皆を案内しました。晴れて穏やかな日だったら
ゆっくり散策できるのに・・。

 

雨の中寒さに震えながらもざっと見て回りました。この墓地の存在を知っている人は
一人もいませんでした。

新善光寺

 

静岡には珍しい時宗のお寺です。「代表的なお経を聞かせて下さい」とお願いしたら
朝課(朝の勤行)で読むお経を唱えて下さいました。
17年前に新築したそうです。

終戦後の昭和21〜22年に、太平洋戦争末期の静岡大空襲などで焼失した寺町
(現在の常盤公園周辺)の寺院を、沓谷地区に移転させています。
それに合わせて、この地に愛宕霊園(墓地)が整備されました。

近辺には臨済宗の寺院もあるので、陽気がよければ一軒ずつ皆さんに紹介し
愛宕霊園も外から見、最後は中央の観音山にある観音様にもお参りしようかと
考えていましたが、この寒さではもうこれ以上外にはいられず、セントラルスクエア
アピタへ入り、しばし自由時間。買い物したりコーヒー飲んだりして体も温まり
郷島へ戻りました。

とにかく「寒かった」印象ばかりが残りましたが、よくよく考えてみれば、普段
聞くことのない他宗のお経を聞いたり、不去来庵のような町中にありながら
存在すら知らなかったお堂をじっくり見せていただいたりずいぶん貴重な体験を
したわけです。こうして記録を書いていてつくづくそう思いました。