鞍馬・比叡


旅心がうずき出した父に、どこへ行きたい?と訊くと、「鞍馬山と柳生」という答が返ってきました。
ゴールデンウィークには子どもたちが帰ってきますが、娘が家事をやってくれるというので
父につきあうことにしました。
計画を立てたのが遅かったので、まずは宿をとインターネットで探しましたが、連休とあって
なかなか見つかりません。5〜7日の三日間を予定しましたが、結局5日は比叡山の宿坊、6日は
奈良のビジネスホテルが取れたので、行く先はこれに従って決めることにしました。

ざっと考えて、一日目は鞍馬、二日目が比叡山、最終日に柳生です。ただ車でないので、移動には
どこも時間がかかります。特に柳生はバスの便も悪いので、行けたら行こうという程度に考えました。

一日目

静岡→京都→東福寺→出町柳→鞍馬  と乗り替えが何度もあります。叡山電鉄鞍馬駅に着いた時には
もはや12時でした。安直に、一日目は鞍馬、その後バスで比叡山に行き、できれば少しその辺を見て
などと考えていましたがとんでもない。鞍馬に着いた途端、考え込んでしまいました。
仁王門だけ見て引き返すのももったいない、どうせなら貴船神社まで歩いてみようと考えてはいました。
しかし予定していた比叡山への直通バスは最終が三条京阪を午後3時です。鞍馬から貴船までは
徒歩2時間半だそうですし、ましてや84歳の父との旅です。

とりあえず昼食を食べることにして、電車を降りてすぐの店でうどんを食べました。
その店ではとてもやわらくておいしそうなお餅を売っていました。山椒餅やよもぎ餅と書いてあります。
売り切れと書いてあったのですが、お店の人に言ったら「一つ二つはあるかも知れません」と
出してきてくれました。その日に売る分しか作らず、売り切れご免だそうです。
とてもおいしかったです。

さて、食事をしつつも、どうやって比叡山まで行けるか、頭はそれでいっぱいです。
電車の中に貼ってあった路線図を見ながら

貴船→宝ヶ池→八瀬比叡口からロープウェイで比叡山頂というコースを思いつき

家にいる娘に携帯からメールを送って、パソコンで時刻表を調べて貰いました。
行けそう・・・と思ったのもつかの間、宿に電話して山頂からどのくらいかかるか訊いたところ
徒歩1時間という返事。無理とは思いつつ「迎えに来てはいただけませんか?」と重ねて
訊くと「満員ですしできません」。それはそうだろうなあ・・・(-_-)。

さてこうなると残る手段は、

貴船→出町柳→三条→坂本 へ電車で行き、坂本からケーブルで比叡山に上るしか
ありません。ケーブルの最終が5時半、間に合うと思いましたが内心ハラハラでした。
もっときちんと調べて、早く出発すれば良かったのですが、例によって準備不足(^_^;)。

  

連休だし天気も良いので人が大勢居ました。

ケーブルカーで山門駅から多宝塔まで
上りました。できれば乗らずに、徒歩で
由岐神社経由で鞍馬寺まで上るべき
だろうとネットのサイトにも書いて
ありましたが、まだ先は長いので、
そうも言っていられません。
ただ人出が多いので、乗れるまでには
2列車ほど待ちました。
これも予定外に時間がかかってしまい
心配は募ります。

    
 

多宝塔 中門を通り、本殿金堂を過ぎ、鐘楼、冬柏亭などをちらりとのぞき、黙々と歩きます。


   義経堂

入り口で貰った案内に地図と距離が書いてあるので、それを見ながら「今、どの辺りか?
あとどのくらいか?」と判断します。5月にしては暑いし、父の様子をみては休み休み
歩きました。義経堂の手前、背比べ石のあたりでほぼ真ん中のようです。

 

木の根道                       僧正ガ谷 不動堂

 


奥の院魔王殿の拝殿               本殿

やっと貴船に着きました。山道の上り下り、よく歩きました。

 

しかしここからもまた階段を上らなくてはなりません。

 

やまぶきがきれいでした。貴船神社やその付近には人が大勢居ました。
さて貴船から叡山電鉄の貴船口まではバスですがあまり本数はありません。
それでもさほど待たずに乗れました。そして貴船口でバスを降りると、父を急かして電車乗り場へ。
なんと止まっている電車に乗れました。私たちまでは待っていて乗せてくれたのです。
電車は満員で父も立ったままです。早く出町柳に着かないかと時計ばかり見ていました。

その後、出町柳、三条京阪、浜大津を経て坂本まで電車に乗りました。
車内では眠ってしまいました。
坂本に着き、駅でケーブル乗り場はどこですか?と訊くと、あっちと教えてくれましたが
ちょっと怪訝な顔をしています。今頃行くの?という感じです。
この時、5時。ケーブルは5時半までですから、ぎりぎり間に合いました。

でもこの坂本の駅からケーブルまで「わずか10分」というのですが、これがきつい。
上り坂だし、とても10分という距離ではありません。またまた父の様子をうかがいながらです。
(タクシーに乗れば良かったかな、でも普段からタクシーに乗る習慣がないので、ついつい
こうして歩いてしまいます)

 

坂本駅からケーブル駅までの間、お寺が何軒もありました。時間があればゆっくり拝観し
この辺りの雰囲気を味わいたかったです。
ケーブルに乗ったときには、本当にホッとしました。
乗客は私たちの他に3人ほどでした。

  

ケーブルの途中からも琵琶湖が見えました。
しかしケーブルの駅から宿まで、これまた「すぐそば」のはずだったのに、それなりに
距離がありました(-_-)。

 

やっと比叡山の境内に入りました。右写真、門の後ろ側に見えるのが延暦寺会館、
2005年9月にオープンしたという新しい建物です。
精進料理でとてもおいしかったです。



部屋は夜景の見える部屋で、眺めは良かったのですが、疲れていて足は棒のよう、
とにかく早くやすみました。父がよく歩いたこと,いや、歩かせたということかm(_ _)m。

二日目

根本中堂で朝六時半から法話があると前夜説明があったので、私だけ行くことにしました。

 

小さい子のいる家族連れなどもいて、思ったより大勢が朝の法話に参加しました。
私の知っているお経は般若心経だけでした。

会館に戻って朝食をとり、まずはすぐそばの文殊堂にお参りしてから根本中堂へ。



   文殊堂                        根本中堂



あちこちにシャクナゲがきれいに咲いています。右は大講堂です。
延暦寺バスセンターに行き、まずは遠くの横川までシャトルバスで行くことにしました。
バスセンターには広い駐車場がありますが、その周りにいろいろな桜が植えてあり、
ちょうど見頃でとてもきれいでした。

  

「楊貴妃」「鬱金(うこん)」「普賢象」など名前を書いた札が下がっています。
右の写真の手前、黄緑色っぽいのが鬱金桜です。
ぐるっと一回り見て歩きながら写真を撮りました。駐車場には車はまだ少なく、
人出も少なくて静かで、天気は良く、桜はきれいで最高でした。

横川で降りて少し歩くと横川中堂が木々の間に見えました。朱色が鮮やかです。

 

これに気を取られて根本如法塔は見忘れてしまいました。
それから更に進んで元三大師堂に行きました。



そして日蓮が求道の日々を送ったという「定光院」の案内板を見て、「どうする?行ってみようか」
と歩き始めましたが、これが遠かったのです。まずは下りですからいいのですが・・・。

 

自分のナップサックを背負い、バッグを首からかけ、父の荷物を持って歩いたので
何だか家出したおばさんみたいです(^_^;)。途中で出会った上ってくる人に「まだ遠い
ですか?」と尋ねると「そうでもないですよ」との答え。でも実際にはかなりありました。
確かに「遠いですよ」などとは言えませんものね。
途中で戻るのもしゃくに障るので、あとどのくらいか?と気にしながら歩き続けて
やっと門が見えました。

建物は建て替えたばかりのようです。人はほとんどおらず、静かでした。
この距離ではここまで来る人はほとんどいないのでしょう。
トイレもたくさんあったので、ここでは研修などが行われるのか?と思いましたが、
どうでしょう?

 

日蓮像がありました。

さてここまでは車道もあるようで、車が止まっていました。もちろん、そうでなくては生活して
いけませんから。でも私たちはまた歩いてバス停まで戻らなくてはなりません。ふうぅ(-_-)。
父の様子を見ながら、階段を上って戻りました。

シャトルバスに乗り、西塔へ行くつもりでしたが、時刻は昼。疲れてもいるので「横道レストラン」で
降りて食事をすることにしました。

  

観光地のレストランだからと期待していなかったのですが、おいしかったです。
炊き込みご飯とうどんの精進豪華セットです。
シャトルバスは30分おきなのですが、何とこの時間だけ1時間、間がありました。
またまた予定が遅れます。食事を済ませたあと30分以上時間がありますが
待つしかありません。眺めはすばらしいところでした。
父はベンチに横になると寝てしまいました。

  

こちらが釈迦堂、右の写真はにない堂です。

椿堂を下に見てバス停に急ぎました。
だいぶ疲れてきましたから。

またバスセンターに戻り、京都駅行きのバスに乗り、今夜の宿奈良に向かいました。
近鉄線に乗り大和西大寺で乗り替えて、尼ヶ辻下車。すぐそばのビジネスホテルに
泊まりました。私くらいの年齢のご夫婦が経営なさっていて、とても親切でアットホームな
感じでした。

疲れ果てていましたが夕食はついておらず、レストランもないので、外に出なければなりません。
焼き肉、餃子店など紹介されましたが、回転寿司に行きました。
いったん休むと億劫になってしまうので、風呂はあとにしてとにかく食事に出ることにしたのですが
年齢にもかかわらず父が一切愚痴を言わないので本当に助かります。
「何か買ってこようか?」と訊くと「いや、すぐ食べに行こう」という返事でした。

三日目 は別のページにしました。